まつ毛エクステとまつ毛パーマ(アイラッシュリフト)の危険性とリスク対比

施術選択を誤ると、まつ毛・皮膚・目の健康に深刻な影響を及ぼす場合があります。

下記に、化学的影響の違いと、実際に報告された事故・健康被害の傾向をまとめました。

本内容は生徒・技術者向け教材としてだけでなく、お客様にもぜひご覧いただきたい重要な情報です。

技術者からお客様へのお願い

当スクールおよび提携サロンでは、お客様のご希望を伺った上で、まつ毛の状態・皮膚環境・体調を考慮し、安全を最優先とした施術提案を行っています。

時には「希望のデザイン」や「施術方法」に対して、

技術者がお応えできない(またはお勧めできない)場合があります。

それは、まつ毛や皮膚の健康を守るためであり、

「自己責任だからやってください」と言われても、

専門家としてお引き受けできないことがあります。

これは「断るため」ではなく、お客様の目元の安全と、長期的な美しさを守るための技術者としての責任です。

化学的影響とリスクの比較(リフト剤 vs. グルー)

項目まつ毛パーマ(アイラッシュリフト):リフト剤まつ毛エクステ:グルー(接着剤)
主な目的毛内部を一時的に柔軟化し、形状記憶させる人工毛を地まつ毛に接着・固定する
主な成分・反応(現行)弱酸性~中性処方中心/穏やかな還元→酸化で固定シアノアクリレート系樹脂の重合反応(空気中の水分で硬化)
使用部位毛幹(まつ毛の表面~内部)に塗布地まつ毛の根元0.5~1mm付近(皮膚・粘膜近接)
刺激要因pH管理不良・過放置によるキューティクル損傷揮発ガス・アクリレート成分の刺激、硬化熱、皮膚接触
主なリスク乾燥・弾力低下・一時的な毛切れ(過反応時)結膜炎・角膜障害・接触皮膚炎・脱毛・アレルギー感作
影響部位毛内部(コルテックス・キューティクル)毛根・毛包・まぶた皮膚・結膜・角膜
ドライアイ・敏感肌との相性比較的良い(粘膜に触れにくい)不良(涙膜破壊・粘膜刺激が増悪)
施術後ケア中和・保湿・タンパク補修で回復しやすい炎症・毛根障害は回復に時間、不可逆の可能性
法的区分・基準化粧品(成分規制・表示義務あり)/2024年改正でシステアミン塩酸塩は頭髪用のみ雑貨扱い(化粧品基準の直接適用なし)※衛生・安全配慮は必須
総合リスク中~低(管理が適正なら低)中~高(年齢・体質で高リスクに傾く)

実際に報告された事故・健康被害の比較(傾向

分類まつ毛パーマ(アイラッシュリフト)まつ毛エクステ
主な被害像まぶたの発赤・腫れ、刺激痛、毛のチリつき・一時的な脱落結膜炎・角膜びらん/潰瘍、強い腫脹・痒み、地まつ毛の脱毛、まれに視機能への重大トラブル
典型要因頭髪用薬剤の誤用/放置時間超過/防護不足で薬剤が流入換気不良/グルーの誤使用・過量/装着位置が近すぎる/未免許・不衛生器具
重症化リスク低~中(適切な洗浄・中和で改善例が多い)中~高(角膜損傷・慢性炎症・アレルギー感作の持続)
保健所の指導例頭髪用薬剤の誤用是正、成分表示・保管・防護の徹底無免許施術の是正、換気・衛生・距離管理、立入検査・是正勧告
高リスク群極端な細毛/損傷毛、重度の敏感肌ドライアイ、アレルギー体質、コンタクト長時間使用者、50代以降
※被害事例は各自治体の保健所・業界団体・国民生活センター等への相談や報告に基づく傾向。数値の大小よりも被害の性質(どこに、なぜ起きるか)の理解を優先してください。